2015年5月28日木曜日

カンボジア学校視察 5/26


カンボジアから帰って来ました。

首都プノンペンから田舎道を揺られること2時間、起伏のないカンボジア特有の真っ平らな大地の上にぽつんとプレイベン州バンティアイチャックレイ中学校はありました。門に向かって右側に古びた旧校舎、運動場を挟んで左側に、今まさに完成間近といった感じのぴかぴかの新校舎がありました。子供たちは運動場や教室の中にわらわらとたむろしています。

その300人ほどの子供たちが、われわれ「やくそく」プロジェクトチームが入場するとき、全員門の両側に並んで拍手で迎えてくれました。屈託のない子供たちの笑顔。異国人を目の当たりにして少し恥ずかしそう。でも、そこには新校舎を建ててくれた日本人への感謝の気持ちが滲み出ていました。花道を通り抜けたあと、何か込み上げてきてしまって、涙を乾かそうと上を向いたけれどカンボジアの空はどこまでの青くて広かった…。

「わたしたちは新校舎を作るためにベストを尽くしました。だから君たちも、君たちの勉強でベストを尽くしてください。」という「やくそく」プロジェクト事務局長田山正胤(まさつぐ)さん(たやまん)からのスピーチのあと、運動場のテーブルの上に椅子を置いた仮説ステージで「OUT INTO SPACE」とジョン・レノンの「IMAGINE」、2曲を歌いました。

その後、子供たちの中に入っていって歌ったり、ギターを弾いてみたい奴はいないか~!と無理やり持たせてみたりしました。すると、生徒たちの中から押し出されるようにして出てきたハンサムなひとりの少年がいました。

手には何の素材でできているか分からない自家製のピックを持っています。彼にギターを渡すと、ブルースのようなフォークのような何とも形容しがたいフレーズを弾きはじめました。これがなかなか上手い!君の曲なのか?それともカンボジアでは有名な曲なのか?と聞いても意味が通じません。英語の授業はやっていると聞いていたので、少しは言葉でコミュニケーションも取れるものと思っていましたが、学力が低いのかシャイなのか、何を言ってもニコ~っと笑ったり、友達どうしの間でクスクス笑ったりするだけ。きっと戦後日本の子供たちがアメリカ人をはじめて目の前にしたときもこんな感じだったかもしれません。

ハンサムボーイの奏でるギターにつられるようにして、どこからともなく響いてきた女の子の歌声があまりに美しかったので、その子をギター少年の隣に呼び寄せて何か一曲やってくれないかとリクエストしました。

「おめえ、あん曲唄えっか?」
「え~、でもあちし一番しか分からんけん...」

...わいわいがやがやにこにこと見守る子どもたち。


でも、どの曲もすごくいい感じではじまるのですが、残念ながら中途半端にすぐに終わってしまうのです。このあたりにカンボジアの音楽教育の水準の低さを感じました。というか、カンボジアには音楽教育はおろか美術の授業も含め、情操教育というものが皆無なのです。

テーブルの上から子どもたちに向かって歌ったとき、ぼくも精一杯歌いましたが、彼らも手拍子で応えようと必死で手を叩いてくれるのです。ですが、それが悲しくなるほどまるでてんでバラバラでまったくまとまらずメチャクチャなのです。そもそもリズムを合わすという感覚がない。訓練ができていない…。

もしかしたら、彼らに本当に必要だったのはぼくの「歌」ではなく、彼ら自身の「歌」だったのかもしれません。
一人のシンガーソングライターではなく、一人の音楽教師だったのでしょう。
ぼくではなく、ぼくのギターだったのです。

ぼくの歌などよりも、彼らのひとりひとりにギターを贈った方がよっぽど良かったのではないか、それが本当のボランティアではないか、と思いました。が、それを口にすると、同行して頂いたJHP・学校をつくる会の木村晋也さんから「それは甘やかしすぎです」と一笑に付されました。

ぼくが考えたのはこんなことです。

自分が何を感じているかを知り、それを伝え、自分の頭で考え、それを伝えることができるようになること。それが「教育」においてもっとも大事な根幹部分だと思っています。それができない子供たちは、やがて心で感じ頭の中で考えていることを諦めて、世の中に迎合していくことでしょう。

その世の中が、未来も何もない賄賂社会だったらどうしますか?

子どもたちが「夢」を諦めなければならない社会に、どうやって未来が期待できますか?

彼らが生きているのは「自分と自分の家族が食べていくこと」しか考えられない社会なのです。
そこには文化も、人権も、へったくれもありません。

夜中の11時すぎにストリートでゴミをあさっている子どもたちを見ました。
橋げたで物乞いをする少女を見ました。
観光地では、絵葉書やマグネットや服を売りに幼い子どもたちが絶えず観光客を取り囲んでいます。

バンティアイチャックレイ校に通える生徒たちは、まだ恵まれた方なのです。

今日も彼らは学校に登校しています。
それぞれの「希望」を胸に…。
それぞれの「夢」を胸に…。
きっと田山さんが望んだ通り、彼らのベストを尽くしていると願っています。

でもカンボジアの教育水準は低く、教師の数は足りていません。

それが現実なのです。

You may say I’m a dreamer
But I’m not the only one
I hope someday you’ll join us
And the world will live as one
    ーJohn Lennon ”IMAGINE”

君は僕のことを夢ばっかり見ているというだろうな
でも僕ひとりじゃないんだ
いつか君も加わってくれるといいな
そうしたら世界は一つになるはずさ

7/17 横浜は横浜スタジアムすぐ脇にある老舗ライブハウス 7th Avenueにて「カンボジア・チャリティ・ロックフェス vol.1」が開催されます。出演者はKOSMICを含めて計4組、他にも民芸品店HAYA-HAYやメヘンディアートのSalon Puruanaのブースショップも出たり、異国カンボジアを知り、世界を少しだけ広げていただくためのきっかけの場となればと思っています。旅の報告もあります。チーム「やくそく」プロジェクトからの挨拶の言葉もあります。もちろんKOSMICは今まで通りの最高のロックショーをやりますし、MIGHTY POPPAも最高です。みなさんでこの夜を特別な夜にしましょう!詳細は決まり次第、順次お伝えしていきます。

愛と音楽とわずかなマネーで、世界は変えられる!

カンボジアに興味を持った。カンボジアにちょっと行ってみたい気分になった。と思ってもらえるだけで、わたしたちは幸せです。

「ぼくたちの革命は、まだ始まったばかりだ」

ともに変化の風を起こしましょう!
そしてその風をともに感じ合いましょう!

ありがとうございました。

マーケットトラスト 学校建設支援活動「やくそく」プロジェクト

同行した中村美佐江による「カンボジア渡航記」

KOSMIC Official Website
http://www.shoshi-maimai.com/kosmic/